福盛 英明教授Hideaki Fukumori
専攻 | 人間共生システム専攻 実践臨床心理学専攻 |
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部門 | (キャンパスライフ・健康支援センター) |
コース |
修士:
臨床心理学指導・研究 博士: 臨床心理学指導・研究 |
講座 | |
九州大学研究者 データベース |
https://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K001890/index.html |
大学生の時期を「今より少しだけよいものにする」ための研究に向けて
私は、これまで長く臨床心理学を背景とした「学生相談」の実践を行っていて、それを一番大切なものと考えています。
大学生活を考えるにあたり、世の中のSNSではキラキラとした充実した学生生活が紹介されることが多いですが、私はそれだけが素晴らしいものだとは考えません。
青年期は、自分自身について知ること、ネカティブな感情と付き合うこと、人間関係を含むいろいろなことへの成功と挫折の経験から学ぶなどの様々な発達課題があり、葛藤、悩み、行き詰まりにとりくみ、その中で成長してゆくという側面があります。
私は大学生のQuality of Student Lifeについて「自己効力感」「不安・悩み」「生きがい」「対人積極性」「疲労感」「親密な友人関係」「将来展望」「大学帰属意識」「生活・学習環境」「体調」「講義・ゼミ」「活動性」といった因子からなる「学生生活チェックカタログ」の開発と調査研究に携わりました。一般化されたQuality of Student Lifeについて考えて来たのですが、最近は、充実した学生生活を考えるには、「こういった基準が満たされた状態が大学生活が充実した状態である」といった、一つの「充実の在り様」に向かっていくものではなく、各自それぞれ違っているのはないだろうか、とだんだん考えるようになりました。
私の現在の研究の関心は、テーマに紹介してある通り
*大学生のQuality of Student Lifeとは何か。単一のものではなく、多次元のものではないか。また充実過程過程を明らかにする必要があるのではないだろうか。
*大学生が自身のQuality of Student Lifeを高めるために自分でできることは何か。キラキラした生活をめざすため、ではなく、自分自身に気づき、様々な感情と折り合いをつけ、周囲に振り回されすぎずに自分を受け入れていけること(自身の「体験過程」を大事にすること)に意味があるのではないだろうか。
*大学生のQuality of Student Lifeを教育や環境として支える「学生相談」(カウンセリング)のシステムを充実させるにはどうしたらいいだろうか。そのためには形成的評価という概念を活用できないだろうか。
です。
これら全てに通じているものは、「外にある何らかの目的に向かって進む」だけではなく、「今より少しだけでもいいのでよりよいものにできないだろうか」(「マシなものにできないだろうか」でもいいですね)ということにじっくりと取り組むこと、にまとめられるかもしれません。特に今後「個別性」と「過程的側面」について質的に研究を進めることができたらいいなと思っています。
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