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大学院人間環境学研究院

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高橋 勤教授Tsutomu Takahashi

専攻 教育システム専攻
部門 (言語文化研究院)
コース 修士: 国際教育環境学講座
博士:
講座
九州大学研究者
データベース
https://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K001732/index.html

研究テーマ

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研究内容

研究テーマ設定の背景

学府では「環境教育批評論」、「環境思想論」を担当していますが、本来は19世紀のアメリカ文学研究、特にヘンリー・ソローの研究をしています。ソローの思想はアメリカにおける環境保護思想に大きな影響を与えたこともあり、ソロー研究をとおしてアメリカの環境思想や日本における環境文学に関心を抱くようになりました。水俣病問題を扱った石牟礼道子の文学、あるいは足尾鉱毒事件を扱った作品にも関心を抱いています。

 

研究手法

できるだけ現場主義を目指して海外に足を向け、ソローの足跡をたどることにしています。

 

文学研究は机上で完結するように思われがちですが、やはり作品が生まれた場所に身をおき自然風土や空間の広がりを経験しないとわからないことも多くあります。本に向かって考えてばかりいると、参考書の受け売りになったり、自分勝手な解釈に埋没してしまうような気がしています。

 

調査対象や調査地についての解説

ソローの生誕地マサチューセッツ州コンコードはコンコード・ブドウで有名ですが、思想家のラルフ・エマソンや『若草物語』のルイザ・メイ・オルコットが暮らした町としても知られています。また日本とも縁があって、札幌農学校の二代教頭(実際は校長)ウィリアム・ウィーラーの出身地で、札幌農学校のカリキュラムはマサチューセッツ農学校(現マサチューセッツ大学)のカリキュラムを参考にしたものでした。

 

研究についてのこだわり

私は吉村昭の小説が好きで、できることなら吉村昭に倣ってインタビューや徹底した資料調査、壮大な構成力を学びたいと思っています。なかなかうまく行きませんが。ただ頭でちょっと考えてそれを饒舌に語ったり、文章化するといったことはできるだけ慎みたいと考える今日この頃です。

 

研究生活で最もわくわくしたこと、逆に最も落ち込んだこと

書くことや読むことに夢中になって「もうこんな時間か」と思えるような経験をできるだけ多くしたいですね。集中力がなく何事も投げ出してしまうような時間は自分でも落ち込んでしまいます。ただこれまでの経験から言えば、なにか大きな作業を成就するには「深く落ち込む」瞬間が必要不可欠だと思います。

 

深く落ち込まないといいものはできない、そんな気がしています。

 

研究生活で出会った印象的な人物やエピソード

当然、研究の対象にのめり込めばのめり込むほど、その人物に思想も行動も似てきますね。

 

ソローはエゴがつよく人好きのしない一面がありましたから、私も無意識にそうなっているのかもしれません。ただ研究者としての自分を振り返ると、学部、大学院時代とじつに多くの先生方に接し、教育内容や教え方から先生の生きざままで、多くのことを学びました。それが教師としての現在の自分を形成しているのを感じます。

 

大学院生へのメッセージ

クラーク博士ではありませんが、Be ambitious!ということではないでしょうか。

 

essayの語源はessayer(試みる、挑戦する)ですから、自分には到底できそうにないテーマや問題に果敢にチャレンジしてみてはどうでしょうか。論文を「うまくまとめよう」とするときまって失敗しますし、面白くない。私もときどき論文を読み返して、どれだけチャレンジしているか、振り返ってみることにしています。

 

大学院生の時何をしていたか

私は九大の大学院に3年、それからペンシルヴァニア州立大学で3年過ごしましたが、アメリカで日本語のTAをやった経験は辛くも楽しい思い出でした。当時は日本のバブル期でアメリカでも日本語ブームが起きていましたが、実際に30−40人のクラスで教えるのは大変でした。ただ大学院の授業や試験が別の意味で大変でしたから、心のバランスをとる上でいい気分転換になったと思っています。

 

今後の研究・実践活動について

現在二冊目のソロー論を書いています。九⼤出版会から今夏刊⾏の予定です。私は停年まであと2年余りですが、これから十年くらい同じペースで本を読んだり、文章を書いたりできればいいなと考えます。反省を含めて言えば、これからもっと英文の論文を書いて海外に発信したいと思います。

 

おすすめの文献

○岡島成行『アメリカの環境保護運動』(岩波新書)

○今泉吉晴訳『ウォールデン森の生活』(小学館文庫)

○Gary Snyder, The Practice of the Wild, (North Point Press)

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