九州大学logo大学院人間環境学府
大学院人間環境学研究院

Our Vision

理念・目標

人間環境学府(教育)の理念

20世紀が成長と発展をめざした時代だったとすれば、21世紀は環境と共生をキーワードにして、私たちの生き方そのものが問われる時代です。このような時代の胎動を感じながら、九州大学に、人間環境をとりまく文化、社会、教育、心理、空間の問題を適切に把握し、新たな学問分野を確立していこうと日夜、研究に勤しんでいるのが、人間環境学府です。

人間環境学府を構成する学問分野を、従来のディシプリンで紹介すると、心理学、社会学、文化人類学、教育学、健康科学、建築学となります。したがって本学府の教育理念は、一方で、既存の複数のディシプリンを習得しながら、他方では、これらを統合する具体的方法として人間環境学という学問分野を創造するという「複眼的構造」になっています。

人間環境学府(教育)の目標

新規学際分野を取り入れ統合した総合的視点に立脚した文理横断型の教育組織を確立と新時代の共生社会を創造するために先端的役割を果たす研究者や共生社会で活躍する高度専門職業人の育成を目指す。

地球規模でますます複雑に多様化する傾向にある人間環境を取りまく諸問題を多面的視点から科学的に解明し、人間にとって最適な環境のあり方とその創造の方向を探り、新時代の共生社会をリードする役割を果たす人材を育成するためには、人間そのものを科学する領域と人間を取り巻く環境を科学する領域とそれら両者の関係を科学する領域を個々バラバラに研究教育するのではなく、三者の有機的連携を図りながら人間と環境とを一体的にとらえて研究教育していくことが不可欠です。またそこでは、少なくとも次のような高度の知識やスキルや創造的問題解決能力が求められます。
※下線は教育研究上の目的(人環規則第1条の2)

  • 深い専門性と同時に学際性の高い知識やスキル
  • 工学的なテクノロジーから文系的なソフト・サイエンスに至る幅広い総合的知識やスキル
  • 多様な価値観や豊かな人間性に支えられたバランス感覚
  • アクションリサーチを中心にした実践 科学に支えられた創造性豊かなグランドデザイン能力
  • 多面的角度から柔軟に問題を吟味検討する分析的・批判的・創造的能力
  • 多様化・複雑化する現実問題に臨機応変に対処可能な応用力
  • 異なる文化や価値観や考えを持つ人との間でのコラボレーション能力など

新規学際分野を取り入れ統合した文理横断型の教育組織の確立

新しい時代が求めているこうした幅広い高度の知識・スキル・問題解決能力を有する高度専門職業人や研究者を育成するためには、文系と理系、工学と社会科学などのように細分化と専門化を重ねていく従来の教育組織では不十分です。従来の学問分野を横断的に再編し、新規学際分野を取り入れ統合した総合的視点に立脚した文理横断型の教育組織を確立していかなければなりません。

新時代の共生社会を創造するために研究者・高度専門職業人の育成を目指します

こうした社会的要請に応えるために、従来からも学問的親縁性を持ちながらこれまで大学の中では別組織に所属していた心理学、臨床心理学、健康科学、社会学、人類学、教育学、建築学の諸分野を一つの教育組織に融合することによって文理横断型の新たな教育組織として編成したのが人間環境学府です。本学府はこの理念に基づき、新時代の共生社会を創造するために先端的役割を果たす研究者や共生社会で活躍する高度専門職業人の育成を目指します。

人間環境学研究院(研究)の理念

人間と環境を一体的に研究するための新しいパラダイムの創出のために、人間環境学を構成する人間そのものを科学する分野と人間をとりまく環境を科学する分野とそれらの関係を科学する分野を新たな視点から創造・開発する。

人間環境を取りまく文化的、社会的、教育的、心理的、空間的諸問題は、地球規模でますます複雑に多様化する傾向にあると同時に、時代や価値観の変化に伴い絶えず変容しうる流動的特性を持っています。こうした諸問題や特性に適切に対処し、時代や世界をリードする国際的・先端的研究を創造開発していくためには、伝統的・基礎的な研究分野の系統性をベースにしながら、斬新なアイディアの下に先端的あるいは学際的な研究分野を積極的に取り入れ、発展し続ける自律性と柔軟性を内部にビルド・インした研究組織が不可欠です。

新しい時代を先取りした教育プログラムの開発

他方、そうした時代動向の中で、社会のニーズに応える高度の専門的知識やスキルを身につけると同時に先端的・学際的な知識や多様な価値観に支えられた国際感覚ないしはバランス感覚を身につけた研究者や学生を育成する為には、新しい時代を先取りした教育プログラムの開発や柔軟な教育組織の再編が不可欠です。

しかし、従来の教育研究組織は学生が所属する教育組織と教官が所属する研究組織とが一体化していたために、研究組織を変えるとなると自ずと教育組織を変えなければならないというように両組織の間には拘束関係があり、時代の変化に応じて研究組織あるいは教育組織のいずれかを臨機応変に変革するということは困難でした。

教育組織と研究組織とを分離する研究院構想

こうした問題点を克服するために構想されたものが研究院構想ですが、その理念は「教育組織と研究組織とを分離することによって、時代や社会のニーズにマッチした常に発展し続ける社会的にも国際的にも開かれた研究組織や教育組織の改変が容易になるようなシステムを構築する」というものです。

この理念に基づき、従来から学問的親縁性を持ちながらも大学の縦割り組織の中に別々に納められてきた心理学、臨床心理学、社会学、人類学、教育学、建築学の諸分野を統合し、人間と環境を一体的に研究するための新しいパラダイムの創出のために、各学問の系統性に留意しながら、人間環境学を構成する人間そのものを科学する分野と人間をとりまく環境を科学する分野とそれらの関係を科学する分野を新たな視点から創造・開発するために再編成された研究組織です。

この新しく編成された研究組織のもとに、人間環境学研究院では、21世紀の共生社会が求めている新たな研究領域、例えば「国際感覚やバランス感覚を兼ね備えた創造性豊かな人間育成」「クオーリティーライフを保証する生涯学習環境作り」「環境と共生した都市空間の計画立案」「共生社会を目指す人間社会の支援システムの立案」「都市病理に対する有効な臨床的介入とそのシステムの立案」という研究領域・分野において、世界の動向を一歩リードし、アジアはもとより世界の拠点としての役割を果たしていきます。