1995年2月 | 九州大学の多様な分野の教員が有志として人間環境学研究科構想検討委員会を発足させました。 当時、21世紀を迎えるに当たって人間と環境をめぐる諸問題は深刻さを増し、複雑に絡み合う様相を呈していました。これらに対処するためには、人間と環境を一体的に捉える新たなパラダイムが不可欠であり、その新たな社会ニーズに応えるには、大胆な学際的教育研究組織が必要との認識が芽生え、それを実現するための組織構想の検討が開始されました。 その頃、九州大学は国内外の研究拠点大学への変革が求められ、その方針が「九州大学の大綱案(1995年3月)」に取りまとめられました。人間環境学研究科構想は、まさにその大綱案に立脚したものでした。 |
1998年4月 | 人間環境学研究科が設置されました。当研究科は、教育学部、工学部建築学科、健康科学センター、文学部人間科学科で構成されており、当時は、日本でも例を見ない文理融合型の新しい学際組織でした。 研究科の専攻等構成は、学際専攻として都市共生デザイン専攻と人間共生システム専攻の2専攻、基礎専攻として行動システム専攻、発達・社会システム専攻、空間システム専攻の3専攻、並びに附属発達臨床心理センターでした。 学際専攻とは異分野の教員が配置され学際的分野を創造・発展させる専攻であり、基礎専攻とは伝統的学問分野を継承、深化、発展させる専攻です。 |
2000年4月 | 九州大学では大学院に研究院・学府制度を導入することになりました。この制度は、従来の大学院研究科を研究分野で編成された研究院と、教育のために編成された学府という組織に再構成するものです。 九州大学の研究院制度 2000〜人間環境学研究科は、人間環境学研究院と人間環境学府に再編されました(下図)。研究院は都市・建築学部門、人間科学部門、教育学部門の3部門で構成されることになり、学府は旧研究科の5専攻が人間環境学府5専攻となりました。学府では、従来協力講座であった健康科学センターの教員は行動システム専攻の専任となりました。 また、新たに言語文化研究院や留学生センターの教員に教育システム専攻の専任になってもらうなど、教育組織の充実が図られました。 一方、当研究院の教員も他学府(医学府やビジネススクールなど)の専任となっています。また、学士課程教育については、従来通り文学部人間科学科、教育学部、工学部建築学科を担当しています。 |
2004年4月 | 従来の国立大学が法人化され、九州大学も国立大学法人九州大学に移行しました。これによって、大学は自己決定の自由度が増大することになりましたが、一方では経済的自立性を求められることにもなり、組織の効率化や競争的資金の獲得などで大学間の競争が始まりました。学内でも組織の見直しが進められることになり、部局の存在意義を明示することが求められるようになりました。 |
2005年4月 | 人間環境学府の人間共生システム専攻において、臨床心理学分野の実務家「臨床心理士」養成のための専門職大学院「実践臨床心理学専攻」が立ち上げられました。これにより、従来の5専攻が6専攻の構成となりました。それに伴って、実践臨床心理学専攻の教育・研修機関として附属発達臨床心理センターは附属総合臨床心理センターに改組されました。 また、発達・社会システム専攻は、社会学コースを人間共生システム専攻へ移動し、教育に特化した教育システム専攻に再編されました(下図)。それに伴って、人間共生システム専攻では、心理臨床学コースは「臨床心理学指導・研究コース」に再編され、共生社会システム学コースは発達・社会システム専攻の社会学コースと合わせて「共生社会学コース」に再編されました。 |
2007年4月 | 人間環境学府の教育システム専攻において、言語文化研究院の教員を中心とした講座が新設され、学府内の共通プログラムである「国際社会開発プログラム」が立ち上げられました。 |
2008年4月 | 人間環境学研究院の都市・建築学部門において、従来5講座であった構成が「計画環境系講座」と「構造防災系講座」の2講座体制に再編されました。 また、人間環境学府の都市共生デザイン専攻と空間システム専攻では、21世紀COEプログラム「循環型住空間システムの構築(2003年~2007年)」の出口として、修士課程に両専攻にまたがる「持続都市建築システムプログラム」が立ち上げられました。また、博士後期課程では、両専攻にまたがる「持続都市建築システムコース」が新設され、同時に都市共生デザイン専攻は従来の2コースを「都市共生デザインコース」の1コースとし、空間システム専攻は従来の3コースを「空間システムコース」の1コースに再編されました。 |
2010年4月 | 人間環境学府の都市共生デザイン専攻と空間システム専攻では、英語で授業を受けることができる「持続都市建築システム国際コース」を両専攻にまたがって修士課程と博士後期課程に設置しました。 これは、九州大学が2009年度に国際化拠点整備事業(グローバル30)に採択されたことに伴うものです。 グローバル30とは、日本学術振興会の事業であり、海外の学生が日本に留学しやすい環境を整え、国際化拠点の形成に向けた取組を総合的に支援するものです。(下図) |
2018年9月 | 九州大学文系地区の伊都キャンパス移転に伴い、人間環境学研究院・学府、工学部建築学科は箱崎キャンパスから伊都キャンパスイーストゾーンへの移転が完了しました。 |
2019年3月 | 2018年に設立20周年を迎えた人間環境学研究院・学府は、これまでの20年間の研究と教育の成果を報告するシンポジウムを、2019年3月18日(月)に伊都キャンパスイーストゾーンの大講義室で開催しました。 |
2021年4月 | 芸術工学研究院、総合理工学研究院と共に「環境」をテーマにした研究・教育センター/Built Environment Center with Art&Technology(BeCAT)を開設しました。 BeCATでは、エンジニアリングとデザインを融合しながら持続可能で脱炭素な社会のための環境建築と都市のありかたを研究・教育し、その成果を具体的に社会実装してゆくことを目指しています。 |
2024年4月 | ・人間環境学研究院に、リカレント教育を通じて、最先端の技術を社会へ実装することを目的とした、デジタル・ビルト・エンバイロメント部門(D-Be 部門)を設置しました。 ・人間環境学府と釜山大学校の間で環境教育のための国際協働教育プログラムを確立し、博士後期課程に新たに九州大学・釜山大学校都市・建築学国際連携専攻を設置しました。 ・人間環境学府教育システム専攻修士課程に、アジアの教育研究のハブとして、世界各国の優秀な学生や教育学研究者の教育研究拠点を構築し、世界レベルで活躍しうる人材を輩出するため、英語による授業等により学位取得可能な教育課程として教育学国際コースを設置しました。 |