古賀 聡准教授Satoshi Koga
専攻 | 人間共生システム専攻 実践臨床心理学専攻 |
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部門 | 人間科学 |
コース |
修士:
臨床心理学指導・研究 博士: 臨床心理学指導・研究 |
講座 | 臨床心理学講座 |
九州大学研究者 データベース |
https://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K004622/index.html |
九州大学教育学部3年生の頃に参加した脳性麻痺児・者を対象としたボランティア(動作法キャンプ)がきっかけで臨床心理学に興味を持ちました。臨床心理学≒カウンセリング≒言語面接という理解が大きく崩れる出来事でした。恩師である針塚進先生(九州大学名誉教授)に出会い、幼児への関わりを褒められ、調子にのった私は針塚先生の研究室に入れて頂くことになりました。語りだけでなく、表情や動作など行為表現を含めた全体的自己活動を通して、「こころ」を理解するという考えに関心を持ちました。研究活動に熱心に取り組めない私は、心理支援の職人的技術を身に着けることだけに熱心な大学院生活を送り、私立の精神科病院に就職しました。動作法は九州大学名誉教授の成瀬悟策先生によって開発されたとてもユニークな心理療法です。私は動作法誕生のきっかけである催眠法にも関心があります。勤務した精神科病院では、アルコール依存症などのアディクション(嗜癖)問題からの回復支援プログラムの開発に取り組みました。また、即興劇や俳句などの芸術的方法を用いた心理療法の開発に関心があります。
心理テストや尺度を用いて、アセスメント(見立て)や援助の効果検証を行うこともありますが、これまでの私の研究手法は、心理療法場面や日常生活についての語りを記述する事例研究が中心です。クライエント・患者の言語的・非言語的表現を具に観察・描写し、私たちの経験、知識、感情に照合して推測、理解するということが必要です。心理テストには施行法に加え高度な分析・解釈技術を習得する必要があります。
私の研究室では、医療機関等における心理臨床と発達臨床の両方をバランスよく取り組むことが推奨されます。精神科病院、学生カウンセリング、福祉施設、発達相談施設での臨床実践を通して、心理臨床の専門家としての経験を積み、技術を磨きます。多様な臨床現場、支援活動のなかで、それぞれの学術的な問いを立ち上げて、研究も行います。支援技術の習得や実証的調査のために模擬的な場面を設定して、研修や研究を行う場合もあります(写真参照)。
私の研究の対象は生きた人間です。そして、統合失調症やアルコール依存症、発達障害、運動障害などの疾患・障害そのものを研究するというよりは、そのような疾患・障害を抱える人の生活や人生における生きづらさを理解することが重要だと考えています。
事例論文をまとめていくときには、その臨床実践を行っていたときには見えなかった治療の流れやそのクライエントの背景がスーッと理解されてくる瞬間があります。その知見を活かしながら実践と研究を同時的に進めていくことが心理臨床学の面白さだと思います。しかし、一方では、私が研究の対象とする主題の多くは患者さんの苦しみや悲しみであり、どんなに意味ある研究結果がでてきたとしても、それを手放しで喜べないという複雑な思いもあります。
治療や援助によって現在健康的な生活を送られている方のこともよく覚えているのですが、残念ながら治療の途中で亡くなった方もいらっしゃり、そのような方のことは何時までも忘れられません。
心理臨床実践のための研修も重要ですが、大学院時代は臨床心理学以外の心理学領域について学ぶことは重要だと思いますし、社会や臨床現場にでてみると様々な局面で自分を助けてくれたように思います。
ほとんど時間を脳性麻痺児・者を対象とした心理リハビリテイション・動作法キャンプに費やしました。同じ釜の飯を食べた仲間や国内外に知り合いができました。あとは、後に就職することとなる精神科の病院で非常勤心理士として働いていました。
多分野連携プログラムとして「共生社会と心理学」のメンバーとして活動しています。心理学そのものが対象や方法論を含め学際的性質を有していると思います。心理学教員は複数の専攻に分かれて教育活動を行っていますが、同世代(?)の先生方と和気藹々とサークル活動のような雰囲気で、シンポジウムの企画などを楽しんでいます。
40代後半になって、「中年期危機」の現実や「生涯発達」の視点をもつことの大切さが分かってきたような気がします。今だからこそ、できることがあると感じています。
○W.H.オハンロン著・宮田敬一監訳『ミルトン・エリクソンの催眠療法入門』金剛出版,2001年
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