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大学院人間環境学研究院

Faculty information

教員情報
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堀 賀貴教授Yoshiki Hori

専攻 空間システム専攻
部門 都市・建築学
コース 修士: 建築計画学
博士: 空間システム
講座 計画環境系講座
九州大学研究者
データベース
https://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K002382/index.htm
研究室ホームページ http://history.arch.kyushu-u.ac.jp./

研究内容

研究テーマ設定の背景

特に積極的なテーマ設定の背景はありません。
ポンペイは、1991年より京都大学の博士後期課程学生のときに、(財)古代学研究所がポンペイ発掘調査を開始し、調査隊のメンバーとして建築史を専門とする研究者を探していたため、当時の指導教員の推薦で研究を始めた。

 

オスティアは2008年より、日本大学の西洋史の先生が、総合的調査を開始したので、建築史、都市史の専門家として参加した。エジプトは、1980年代よりアコリス遺跡の調査を進めている筑波大学の先生より、生産技術史的な研究の可能性を示唆されて興味をもち開始した。

 

研究手法

レーザースキャニングという、一秒間に数千点以上の点を三次元的に実測できる機材を使って調査しています。遺物に対して、非接触、人間が近づけない地点の実測が可能です。

 

調査対象や調査地についての解説

ポンペイは、有名な世界遺産。紀元79年にヴェスヴィウス火山の噴火によって埋没した古代ローマ都市で、いわゆる「タイムカプセル」とよばれるほど保存状態がよい。現在でも30%程度が未発掘。オスティアはローマを流れるテベレ川が地中海に注ぐ河口付近にある古代ローマの外港。共和制期から、
トラヤヌス帝の時代まで継続的に発展したが、近くにハドリアヌス帝が新港を開設したり、度重なる洪水によって古代末にかけて次第に衰退した。ムッソリーニが大規模に発掘を開始し、現在も発掘が続く。エジプト、アコリス遺跡は、古王国末期からイスラム勢力が進入する7世紀まで続いた中エジプトの都市で、周辺にプトレマイオス朝から古代末期に属する多くの採石場が点在することから、採石業を中心に都市経済が成立していたと考えられる。

 

分析のためのソフトウェアやツール

数億点におよぶ三次元点群データを編集、加工、ビジュアル化するためのソフトウェア:Pointools
3次元の点群とデジタル写真を組み合わせて、オルソ画像を生成するためのツール:ImageMasterPro

 

研究についてのこだわり

日本人が西洋古代の建築 、都市を研究する際にもっとも大事なことは、「世界に通用する」研究を行うことです。

 

研究生活で最もわくわくしたこと、逆に最も落ち込んだこと

京都大学での博士課程を終えた後、学術振興会の海外特別研究員として、イギリス、マンチェスター大
学の美術史学科で研究した。その際に、日本では層の薄い西洋建築史研究の「厚み・深み」に触れたときにもっともわくわくした、と同時に、「世界レベル」へ到達することの困難さに落ち込んだ。

 

研究生活で出会った印象的な人物やエピソード

建築学科出身、しかも京都大学の「日本建築・都市史」の研究室に在籍していたため、日本では師事した先生はいません。ですが、エジプトやポンペイでの調
査を通じて、考古学者や人類学者から「考古学」的な研究方法を学んだことが大きい。また、イギリスで、私と同様の観点から古代ローマ建築の研究を進める方
(現在、オックスフォード大学の先生)と出会えたことが、自らの研究に方向は間違っていないという「確信」を与えている。

 

大学院生へのメッセージ

研究者にとって、研究は「結果」がすべてですが、学生は必ずしもそうではありません。修士2年間(就職活動を除けば実質1年半)の短い時間で、何らかの「結
果」が得られなくとも、真摯に調査・研究を積み重ねる「過程」で充分に評価されます。

 

大学院生の時何をしていたか

修士時代は、アルバイトをしてはお金を貯めて、イタリア旅行をしていました。修士2年には6ヶ月イタリアに滞在したため、留年しました。結局、就職せずに博士後期課程に進学して、ポンペイ調査に加わってからも、ほぼ毎年、イタリアに出かけています。学際連携についての思い博士後期課程時代より、すでに西洋史、考古学、人類学、美術史の先生方の中で研究を進めてきたので、とくに学際という問題意識はない。現在でも、筑波大学、名古屋大学、上智大学、日本大学などの文系の先生方と共同研究を進めています。

 

今後の研究・実践活動について

今後10年以内に、オスティアでの日本隊、あるいは日本を含めた国際調査隊による「発掘」を目指しています。

 

おすすめの文献

とくにありません。

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