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大学院人間環境学研究院

Faculty information

教員情報
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尾崎 明仁教授Akihito Ozaki

専攻 空間システム専攻
部門 都市・建築学
コース 修士: 建築環境学
博士: 空間システム
講座 計画環境系講座
九州大学研究者
データベース
https://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K005313/index.html

研究内容

研究テーマ設定の背景

建築は人為的な構築環境の産物です。この人工環境は、人体系と建物系と設備系から成ります。人体系の生理・心理的要求に応じて、建物系の熱・光・空気・音などの環境要素をパッシブにデザインし、さらに設備系によってアクティブにコントロールすることが必要になります。人間生活や住まいの目的用途に対応して、建築内外の環境要素と設備機器を一体化し、最小限の機械制御により生活の利便性を向上させる空間システム学の構築と、そのガイドラインとなる建築機能デザインを目指しています。

 

研究手法

建築環境・設備学は、物理現象に即して、熱・光・空気(物質)・音・水・人間などに分類されます。私は、特に熱力学と熱・物質移動論を基にした建築機能デザイン(エコロジー建築や省エネルギー建築など)およびComputerScienceを得意としています。簡単に言えば、快適性・耐久性・省エネ性などに優れた建物を、伝熱理論を駆使して科学的に設計するということです。専門的には、建築各部の熱流や物質流などを位置や時間を含む変数として偏微分方程式で表現し、それを実行可能なプログラムコードに変換して、気象条件(境界条件)の基で解いて居住環境を評価しています。

 

調査対象や調査地についての解説

都市・建築で生じる自然的あるいは人為的な熱・物質・空気の移動現象を理論的に解析し、複合的な都市・建築環境の形成メカニズムを検証しています。また、それらの建築物理解析を基に、快適性・健康性・省エネルギー性・耐久性に優れた「住環境デザイン」、および先進的な設備システムや再生可能エネルギーを利用した「高機能デザイン」について研究しています。

 

分析のためのソフトウェアやツール

FortranやJava言語を使用して、熱・水分・空気連成を考慮した熱環境解析ソフトを開発しています。例えば、当研究室で開発した建築熱環境解析ソフト「THERBforHAM」は、住宅の品質確保の促進等に関する法律(第53条4項・年間暖冷房負荷計算方法)において特別評価ソフトとして認定(国土交通省認定番号141)されています。

 

研究についてのこだわり

持続的でより良い都市・建築および住環境を確立するため、建築環境科学の更なる高度化と独創的な研究・技術開発を目指し、①建築で起こり得る熱・水分・空気の複合移動を物理現象に則り詳細に数理モデル化する基礎研究、②建築全体の温湿度および空調用エネルギーなどの住環境を予測評価するための数値計算ソフトの開発、③自然エネルギーや高効率設備機器を使用して省エネルギー建築を開発する応用研究を実践しています。

 

研究生活で最もわくわくしたこと、逆に最も落ち込んだこと

自信のある研究成果を学会等で発表することは心待ちでわくわくした気持ちです。しかし、そう思えるまでには、泣くに泣けない苦難とそれを糧にしたチャレンジの連続…。

 

研究生活で出会った印象的な人物やエピソード

大学・大学院の恩師には、教育研究はもとより人間力を磨くことまでご教授頂きました。初めて目にした恩師の論文(数式ばかりでした)が私の描いた設計図面より美しいことに衝撃を受け、そのような論文を執筆したいとの願いで今の路に進むことに…。

 

大学院生へのメッセージ

そうありたいと願う将来の自身をイメージして、知識・思考の幅を広げ、俯瞰力に富み複合的な視野を持てるように、日々の精進に心掛けてください。

 

大学院生の時何をしていたか

指導教員に叱咤激励され、研究室の仲間と泣き笑いしながら、伝熱理論、熱・物質移動論、熱力学などを夢中で勉強していました。

 

学際連携についての思い

建築環境・設備学はグローバルな視点で現象を捉えるため、学問領域が多岐にわたり総合性が要求されます。同時に、原理・原則に基づく幅広い基礎知識と、創造性と考察力を生かした知識の活用が求められます。人間に最適な環境のあり方とその創造を念頭に、実践的な環境科学を通じて、学際的、複合的、国際的な観点を大切にしています。

 

今後の研究・実践活動について

現在の都市・建築は、サスティナブル(持続可能)を目指しています。これからは、パッシブデザインとアクティブコントロールの統合が持続可能な都市・建築の核心的コンテンツとなり、「自然が選ぶ環境デザイン」や「資源が選ぶエネルギーデザイン」が建築要件になると想像しています。基礎・応用研究を基に、それらを適切に評価する方法論の構築、アカデミックな普及啓蒙、ならびに建築政策への反映が重要と考えています。

 

おすすめの文献

○環境工学教科書、環境工学教科書研究会編著、彰国社
○基礎力が身につく建築環境工学、三浦昌生著、森北出版
○建築環境のデザインと設備、藤井修二他編著、市ヶ谷出版社

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