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大学院人間環境学研究院

Faculty information

教員情報
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木村 拓也教授Takuya Kimura

専攻 教育システム専攻
部門 教育学
コース 修士: 現代教育実践システム 総合人間形成システム
博士: 教育学
講座 教育社会計画学講座
九州大学研究者
データベース
https://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K004826/index.html  http://www.education.kyushu-u/

研究内容

研究テーマ設定の背景

教育学の中では、「テスト」はどちらかというと悪者のイメージで語られることが多いと思います。ですが、「テスト」がなければ、日々の成績評定にも困りますし、入学試験や入社試験の有り様にもたちまち困ってしまいます。時には、「テスト」を単に「害悪」と捉えるのではなく、「必要悪」とでもみなした上で、よりよい実施方法を探索することも大切なことのように思います。「テスト」の結果が、個人の処遇や人生を大きく左右するものであるが故に、その実施にあたっては、細心の注意を払うべき類のものである、との認識に立って研究すべき領域であると考えています。

 

研究手法

統計学を活用した教育学研究を専門にしており、教育測定、教育評価、社会調査、テスト理論と呼ばれる領域が専門です。「テスト」は文理融合の学際的な領域であると考えています。単にテストデータを分析するだけでなく、「テスト」が制度として置かれた状況、その歴史的経緯、技術的背景など複合的に理解して初めて、「テスト」の全体像が把握されるものだと考えています。

 

調査対象や調査地についての解説

今でこそ、統計を用いた研究を行っていますが、修士課程まで教育哲学・思想史を研究していて、博士後期課程から教育統計学分野に移りました。そうした経歴を活かし、最近では、歴史資料中に埋もれている計量データを再分析して、昔どういうことが実際に起こっていたのかをデータ上で再現する文理融合研究が最も得意とする研究です。そうした研究スタイルは、ほとんど先人がいないので、研究していて非常に楽しい分野です。

 

分析のためのソフトウェアやツール

SPSS、JMP、STATA、R、Aabel、IRTPRO、TextMining Studioなどを用途に応じて使いわけています。

 

研究についてのこだわり

先行研究がない研究をする、ということをポリシーにしています。もちろん、古典的なテーマに含蓄のある研究領域があるとは思いますが、誰もやったこともない、だけれども、重要な研究領域、研究手法を探索し、それを実行していくことに喜びを感じます。

 

研究生活で最もわくわくしたこと、逆に最も落ち込んだこと

わくわくしたことと言えば、昔のテストデータの個票に歴史資料として出会えたことです。進学適性検査と能研テストという日本で行われた2つの大規模共通大学入学者選抜制度の得点データが入手できたときは研究者冥利につきると思いました。

 

研究生活で出会った印象的な人物やエピソード

私自身が教育哲学・思想史から教育統計学分野に分野移動した背景には、一人の恩師の存在があります。その先生には、たまたま留学先を見学に行ったときに立ち寄ったフランスでお会いしました。その出会いがなければ、数学を勉強し直しなさいと言われなければ、博士後期課程から専攻を変え、教育統計学を研究することもなかったと思います。

 

大学院生へのメッセージ

私は院生の途中で専攻を変えました。自分が進む道にもし疑問が生じたときには、自分の向き不向きも含めて、じっくり自分の進路を考えるのもいいかもしれません。ちなみに、私は、修士課程を修了するのに4年かかりましたが、博士後期課程は2年しかいかずに就職(助教)が決まりました。人生何が起こるかわかりません。何ごともチャレンジを。

 

大学院生の時何をしていたか

大学院修士課程時代までは、哲学の洋書ばかりを読んでいました。大学院博士後期課程では、数式ばかり解いていました。基礎的な文献の読み方、統計手法の基礎的理解が鍛えられたと思っています。基礎のないところに家は立たないのと同じように、目先のテーマに引っ張られるのではなく、基礎基本をしっかりとした研究を志してほしいと思います。

 

学際連携についての思い

学際という言葉を伺って、共通の問題に取り組むために個々の領域が協力するが、問題解決後には、協力関係を解消するMultidisciplinaryではなく、共通の問題に取り組むためには、個々の領域が協力し、その結果、新しい研究領域あるいは分野が形成されるInterdisciplinaryでありたいと思います。

 

今後の研究・実践活動について

現在取り組んでいるのが、テストの法社会学研究です。項目の非公開が原則となる項目反応理論が、テスト問題公開圧力にどのように法的に対応してきたのか、という歴史で非常に興味深い研究分野です。その他、世代に関する社会調査を日中韓で行っています。

 

おすすめの文献

○C.W.ミルズ1995:『社会学的想像力』紀伊国屋書店.

○池田央1992:『テストの科学-試験にかかわるすべての人に』日本文化科学社.

○堀尾輝久1992:『現代教育の思想と構造』岩波書店.

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