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大学院人間環境学研究院

Faculty information

教員情報
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松尾 真太朗准教授Shintaro Matsuo

専攻 空間システム専攻
部門 都市・建築学
コース 修士: 建築構造学
博士: 空間システム
講座 構造防災系講座
九州大学研究者
データベース
https://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K003659/index.html

研究内容

研究テーマ設定の背景

1995年に発生した兵庫県南部地震における鉄骨建物の被害は柱と梁が集まる接合部周辺での被害は特に甚大なものだったので、信頼性の高い接合部を実現することが必要です。また、鋼材は比較的均質な材料であるとはいえ強度にはバラツキがあります。このような不確定因子を考慮した鉄骨建物の耐震設計も今後さらに重要視されるものと思われます。一方で、2011年に発生した東北地方太平洋沖地震による津波被害を見ると、コンクリート充填鋼管の接合部・継手などの必要性もさらに高まるものと思われます。


研究手法

実験的研究に関しては、従来構法よりも優れた構法を考え(仮説)、実際に計画を立て実行します(実験)。得られたデータをもとに仮説の妥当性につい
て考察します(分析)。そして、それを模擬できる解析手法を構築し、実用に向けた検討が必要になります(解析)。一方で、解析的研究に関しては、特に骨組を相手にした場合は地震動を模擬した応答解析等を駆使して骨組の性能等を把握することを目標としています。

 

調査対象や調査地についての解説

近年頻発している東北地方太平洋沖地震や熊本地震などの大きな地震が発生したときには、現地へ赴き建物の被害調査等を行っています。


分析のためのソフトウェアやツール

パソコンはもちろん、実験では高精度な計測装置、大容量の加力装置が必須です。分析には簡単な表計算ソフト(Excel等)、複雑な計算を行うためのプログラムの作成にはコンピュータ言語(fortran等)、構造解析や地震応答解析等に利用する市販のソフトウェアを使用します。

 

研究についてのこだわり

何事も楽しんでやることです。初めから完璧にこなすのはとても難しいので、まず、取り組んでみて、失敗したらそこから学んで次に生かす。このような
作業を楽しみながらやることで、研究や実験に興味を持ち、充実したものとなっていくと思います。

 

研究生活で最もわくわくしたこと、逆に最も落ち込んだこと

実験を行うにあたって計画を立てたり、試験体を組み立てたりと大変なことはたくさんありますが、やりきった後の達成感や、思い通りの崩壊が見られたときの高揚感がたまらないです。自分で研究し、開発した工法が実際の建物に使用されているのはうれしいことです。もちろん
失敗もあります。しかし、失敗は新たな課題が見つかることであり、次に進む準備をしなければいけないということです。だから落ち込んでいる時間はありません。

 

研究生活で出会った印象的な人物やエピソード

京都大学名誉教授の井上一朗先生は学生時代にお世話になった指導教官で、研究への姿勢や取り組み方を教えてもらい、今の自分の考え方のベースとなっています。先生の「突然アイディアが閃くことはない。常にその問題について考えろ。」この言葉が今でも自分の研究に対する根本的な考えとなっています。


大学院生へのメッセージ

自由に自分のやりたいことに没頭できるのは学生だけなので、今を大事にしていろんな知識を幅広く取り入れてください。そのためには、たくさん勉強して、文献を読んで、多くの人と話をすることが大事です。そして、自分の研究に関してだけは先生たちにも負けないと言えるような自信を持ってもらいたいです。


大学院生の時何をしていたか

様々な文献を読んで、自分の研究に関しては専門家になるぞという意気込みで研究に没頭していました。もちろん、研究室のメンバーとお酒を交わしたりもしました。このようなリフレッシュも大事です。


学際連携についての思い

建築構造の分野では「物」を対象として構造の安全性を考えていくと思われがちですが、安全な空間を提供することで、「人」が安心して暮らすことができます。安全と安心をキーワードに建築構造分野が学際的な役割をどのように果たしていけるのか考えていきたいと思います。


今後の研究・実践活動について

これまでは耐震をキーワードに構造物の一部から全体を対象に研究を行ってきましたが、2011年の東日本大震災では、地震のみでなく、津波などの被害も甚大でした。そこで、今後はより広い視野を持って、建築構造について考えていきたいと思います。


おすすめの文献

○井上一朗,吹田啓一郎:建築鋼構造 ―その理論と設計―,鹿島出版会
○S.P.ティモシェンコ(著),最上武雄,川口昌宏(翻訳):材料力学史,鹿島出版会

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