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大学院人間環境学研究院

Faculty information

教員情報
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池田 浩准教授Hiroshi Ikeda

専攻 行動システム専攻
部門 人間科学
コース 修士: 心理学
博士: 心理学
講座 心理学講座
九州大学研究者
データベース
https://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K006335/index.html  http://ikedah-lab.com/

研究内容

研究テーマ設定の背景

小さいころからリーダー的な役割を担う機会が多くあり、みんなをまとめることの難しさをいつも感じていました。そして、大学時代に受講した集団心理学の講義のなかで、リーダーシップのテーマに興味を惹かれ、これを研究して世の中に役立てたいと思い、大学院進学を決意しました。それ以来、「リーダーシップ」のテーマを卒業論文から研究の柱として一貫して取り組み続けつつ、またそれに関連してチームやモチベーションの研究にも取り組んでいます。

 

研究手法

調査や実験をメインな研究手法としていますが、組織の現場に足を運び、観察やインタビューすることも大事にしています。

 

調査対象や調査地についての解説

取り組んでいるリーダーシップなどの研究テーマは、様々な組織と関わる問題であるため企業や病院、公務員、あるいは学校を対象にしています。

 

分析のためのソフトウェアやツール

主に量的なデータを扱うことが多いため、ExcelやSPSSを用いています。研究についてのこだわりいくつかありますが、まず一つは「リーダーシップ」研究にこだわることです。私が研究を志す頃に、リーダーシップについては莫大に研究が行われてきて、新しさやオリジナリティを出すのは容易ではない、と聞かされました。確かに、大学院において学位(博士号)を取得するためには、自分の研究を論文としてまとめ、それが学会が発行している学術雑誌に掲載される必要があります。特に、学術誌に論文を投稿した際に、同じ専門分野の複数の先生から審査を受けますが、競争が激しい研究テーマで新しさを出すのは容易ではありません。実際に、最初の頃はかなり苦労しました。現在でも競争の激しいテーマであることには変わりはありあせんが、自分が取り組みたいと思ったテーマだけに、大事に、そして今後も果敢に挑戦していきたいと思っています。

 

二つ目は、組織の現場にこだわるということです。九州大学の社会心理学研究室(集団力学講座)では、古くから組織の現場でアクションリサーチに取り組んできました。私もそこに興味と意義を感じて研究を志しましたので、そこにこだわりを持って取り組んでいきたいと思います。

 

研究生活で最もわくわくしたこと、逆に最も落ち込んだこと

実験にしても、調査にしてもデータを分析して、その結果を確認するとき。あるいは、論文の査読結果が届いたとき、わくわくします。

 

逆に、なかなか研究が進まないときや研究論文の査読結果を見て、こちらの主張が十分に伝わっていないときには落ち込むこともあります。

 

研究生活で出会った印象的な人物やエピソード

大学を離れて、組織現場の方々や社会人の方とお話をすると、専門的な情報や意見が求められることがあります。そのたびに、研究することの社会的な意義を強く感じ、身の引き締まる思いになります。

 

大学院生へのメッセージ

研究は一朝一夕ではできません。着実に一歩一歩取り組んで下さい。

 

大学院生の時何をしていたか

とにかく朝から夜遅くまで研究室にいました。ひたすら論文や本を読んだり、データ分析に没頭したり、論文書いていました。一見すると孤独のように思いますが、刺激し会える研究室の仲間にも恵まれて、充実した大学院生活でした。

 

学際連携についての思い

3年ほど前から、とある縁で経営学(組織行動論)の先生と共同研究を続けています。私の専門である産業・組織心理学と組織行動論は、扱っているテーマは近いものの、専門が経営学と心理学と異なっていることから、考え方やアプローチが異なり、良い刺激を受けています。

 

学際的な研究は今後ますます必要になることは間違いありません。多様な社会的問題を解決するときにも、1つのディッシプリンからのアプローチではなく、複数のそれが関わることで創造的な問題解決が可能になるかと思います。ただし、個人的には学際的な研究を行う前提として、まずは自分の専門性をしっかり確立することが必要かと考えています。

 

今後の研究・実践活動について

取り組みたい研究は山ほどありますが、まず第1に「サーバント・リーダーシップ」の育成と開発に取り組みたいと思っています。サーバント・リーダーシップは、新しいアプローチでその必要性は広く認識されつつありますが、サーバント・リーダーをどう育成し、実践するかは今後の大きな課題と言えます。

 

第2に、効果的なリーダーシップを引き出す条件としての「フォロワー」の役割(フォロワーシップ)についても検討したいと考えています。これまでリーダーシップばかりに脚光が浴び、フォロワーの存在についてはあまり注目されていませんでした。

 

第3は、効果的なモチベーション・マネジメントの方略に関する研究です。最近では、組織において非正規社員の増加やシニア世代のマネジメントなど、新しい問題に直面しており、従来のマネジメントではモチベーションを鼓舞することは難しくなってきています。こうした問題に対しても、効果的に対処できる方法を考案したいと思っています。

 

おすすめの文献

○マロー, A. J. 望月衛(訳)『KURT LEWIN : その生涯と業績』 誠信書房

○古川久敬(著)『構造こわし-組織変革の心理学-』誠信書房

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