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大学院人間環境学研究院

Faculty information

教員情報
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神野 達夫教授Tatsuo Kanno

専攻 都市共生デザイン専攻
部門 都市・建築学
コース 修士: 都市災害管理学
博士: 都市共生デザイン
講座 構造防災系講座
九州大学研究者
データベース
https://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K004569/index.html

研究内容

研究テーマ設定の背景

本来建物は自然の猛威から我々を守るシェルターの役目を持っていますが、地震によって倒壊すると、人命を奪う凶器になります。建物を凶器に変えないためには、建物を地震に対して強く造るということだけでなく、建物にとっての「敵」である「地震」をよく知る必要があります。「地震」による揺れは「地盤」の状態によって大きく変化しますので、「地震」を知るにはこの「地盤」の状態の把握がカギとなります。そこで、我々が建てた建物を、人命を奪う凶器にしないために、建物の敵である「地震」やそれに大きな影響を与える「地盤」に関する様々な課題の解決やそのための技術の開発に取り組んでいます。

 

研究手法

私の研究は、研究室にこもって行うというよりは(もちろんそういう時間も必要ですが・・・)、どちらかと言えば、実際にフィールドに出て、地面や建物の揺れのデータを取って、それに基づいて物を言うというスタイルです。

 

調査対象や調査地についての解説

地震による揺れは、地下深くの硬い岩盤の断層運動によって生じたエネルギーが波動として地中を伝わり、地表面まで到達したものです。このデータは、自分で観測する場合もありますが、最近は様々な研究機関が観測したデータが公開されていますので、それを最大限に活用しています。また、全国的にみれば、地震の発生頻度はあまり高くありませんので、交通振動や海の波浪といった様々なものを振動源とする微小な振動(微動)も利用します。我々がこの微動を感じることはほとんどありませんが、地面や建物は髪の毛1本分くらいの僅かな振幅で常に揺れているのです。

 

分析のためのソフトウェアやツール

市販のソフトウェアを解析に用いることはあまりありません。自分で作成あるいは別の研究者の方から提供いただいたプログラムを使います。プログラミング言語は、時代遅れかもしれませんがフォートランを使っています。

 

研究についてのこだわり

先人達が積み上げてきた研究に紙1枚でも重ねられれば、それは大きな成果です。いきなり大きなことを目指すより、小さなことの積み重ねが結果として大きな成果を生むことになると思っています。また、私が専門としている工学は人の役に立たなければ意味がありませんので、実社会とのつながりを常に意識することも重要だと思っています。

 

研究生活で最もわくわくしたこと、逆に最も落ち込んだこと

わくわくしたことは、自分の研究成果が実社会で活用されること。落ち込んだことは、東日本大震災のような大災害が起きること。そのたびに自分自身の無力感に苛まれます。ただ、この無力感が次の研究のモチベーションにもなり得るのですが・・・

 

研究生活で出会った印象的な人物やエピソード

大学院時代の師匠:事前に日時を決めて、研究打合せをしたことはほとんどありませんでした。先生の部屋にコーヒーを飲みに、あるいは煙草を吸いに行って(今は吸いませんが・・・)、雑談。気付くと研究の話になっていて、そのまま議論。そんな毎日でした。

 

広島大学時代の上司:大手ゼネコン出身の先生で、何事においても仕事が早く、そして綿密。学生にも非常に慕われている、まさに親分(もちろん大学教授です)。そんな先生の近くにいて、いわゆる、教育者魂、研究者魂のようなものを学んだ気がします。

 

大学院生へのメッセージ

先生を捕まえて話をしましょう。研究の話である必要はありません。雑談でいいのです。先生と親しくなればなるほど、先生の「引き出し」の中身が見えてきますし、相談もしやすくなります。いい大学院生活を送るためにはとにかく先生と仲良くなることです。

 

大学院生の時何をしていたか

研究以外にしていたこと・・・家庭教師のアルバイト、当時の趣味のビリヤード・・・あとはここでは書けませんので、知りたい人は研究室まで来てください。

 

学際連携についての思い

地震に強い社会を作るためには防災教育の充実が必要だと思っています。そこで、教育学や心理学および社会学といった分野を専門とされている先生方のお知恵を拝借し、学際的な幅広い観点から効果的な防災教育の在り方を探るといったことが重要だと考えています。

 

今後の研究・実践活動について

研究成果を社会に還元する方法の一つは論文として発表することですが、地震防災では、これに加え、講演会等で一般の方々へ分かりやすく説明すること、地震防災対策を立案する行政の方々に研究内容をご理解いただくことも重要です。成果を少しでも社会に還元するために、積極的に社会とのつながりを持っていきたいと思っています。

 

おすすめの文献

○新・地震動のスペクトル解析入門・大崎順彦著・鹿島出版会

○最新 耐震構造解析 第2版・柴田明徳著・森北出版株式会社

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