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大学院人間環境学研究院

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教員情報
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箕浦 永子助教Eiko Minoura

専攻 都市共生デザイン専攻
部門 都市・建築学
コース 修士: アーバンデザイン学
博士: 都市共生デザイン
講座 計画環境系講座
九州大学研究者
データベース
https://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K003660/index.html

研究テーマ

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研究内容

研究テーマ設定の背景

都市の時系列的な変遷過程について、「空間」=「社会」の観点から研究を進めています。「近代」という時代性に関心があり、伝統的都市空間が近代的都市空間へといかに再編されたのかを描き出すことを主な目標としています。近代は現代の都市空間の前身であり、この時代に何が起ったかを明らかにすることは現代都市を考えるうえで重要な鍵となると考えています。

 

研究手法

歴史的な文字史料や地図史料、絵画史料を読み解き、解釈し、当時の都市空間を描き出すことを主な研究手法としています。また、歴史的な痕跡を見つけ出すために、積極的に現地調査も行っています。史料分析は物言わぬ対象に向き合う作業ですが、現地に赴いて近代の遺構を実測したり、古老に当時のことをヒアリングする作業も取り入れています。

 

調査対象や調査地についての解説

近代における日本・中国・韓国・台湾の都市空間を対象としています。最近は、近代産業を素材に、産業の隆盛により社会的分業が進行し、これにより都市が拡大していく過程を調べています。また、地形・地層との関係から都市空間を考察することも始めており、地理情報システム(GIS)を援用した研究も行っています。

 

分析のためのソフトウェアやツール

分析には、歴史的な文字史料、地図史料、絵画史料を用います。文字史料は、都市計画や都市改造など都市そのものに関する史料をはじめとして、経済や教育など社会に関する史料も用います。地図史料は、都市全体の地図から個別の土地の敷地図まで、様々な意図によって作成された地図を用います。絵画史料は、美術史的にも価値のある信頼性の高い絵画を主に用います。

 

研究についてのこだわり

こだわりとしては、史料の読み取りや分析、歴史的遺構の調査や分析など、すべての作業を自分自身の目で確かめて、自分の手によってまとめることです。

 

研究生活で最もわくわくしたこと、逆に最も落ち込んだこと

有意義な史料や遺構が見つからず暗中模索しているときに偶然発見したときや、個々の史料をもとに断片的に解明したことを繋ぎ合わせストーリーとして解釈できたときに、最もわくわくします。歴史研究は現代社会に役に立たないと言われるときは落ち込みますが、過去を正しく理解し解釈してこそ未来を考えられると思っています。

 

研究生活で出会った印象的な人物やエピソード

中国での現地調査において、住人の方に昔の街の様子や建物の事を聞くと、激動の近現代史のなかで力強く生きてこられたリアルな体験談を聞かせていただくことがあります。都市空間は、常にそのような個人の生き様から、民衆のイデオロギー、国家の方針までを内包しており、「個」から考えることの意義を考えさせられました。

 

大学院生へのメッセージ

「たくさん考えて、たくさん動く」ことをお薦めします。自分の研究に多くの時間を費やすことになると思いますが、自分以外の研究やプロジェクトに参加して多くの経験を積むのもいいと思います。また、自分の思想が確立されていない時期だからこそ、先生はじめ出会った大人たちと積極的に議論して自己を形成して欲しいと思います。

 

大学院生の時何をしていたか

博士課程の時はストイックに研究ばかりしていました。どこを切り口にしたら都市をよりリアルに描けるか、どこに行けば有意義な史料が見つかるか、常に考えていました。修士課程の時は、プロの方々に混じって文化財調査や町並み調査に参加したり、時間さえあれば歴史的建造物を見て廻ったり、学外の活動も積極的に行っていました。

 

学際連携についての思い

都市史という分野は、文献史学と建築史学が出会って出来た分野であり、そもそも学際分野といえます。都市空間を時間軸で解明することをテーマとされていれば、どの分野の研究者の方とでも有意義な連携が可能であると考えています。何においても歴史はありますので、学際連携することによって都市をより鮮やかに生き生きと描ければと思います。

 

今後の研究・実践活動について

東アジアという地域的枠組みのなかで、近代の都市空間や社会を同時代的に扱いながら比較研究することを視野に入れています。実践活動としては、近代化産業遺産の保存活用や歴史まちづくりに取り組んでおり、歴史的遺産を文化財保存として活かす方法だけではなく、地域に即した柔軟な発想で活かす方法を模索しています。

 

おすすめの文献

○『江戸・東京の都市史_近代移行期の都市・建築・社会』(松山恵、東京大学出版会、2014年4月)

○『都市遺産の保存研究』(宮本雅明、中央公論美術出版、2012年9月)

○『都市史図集』(都市史図集編集委員会編、彰国社、1999年9月)

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