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大学院人間環境学研究院

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教員情報
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藤田 雄飛教授Yuhi Fujita

専攻 教育システム専攻
部門 教育学
コース 修士: 現代教育実践システム 総合人間形成システム
博士: 教育学
講座 国際教育環境学講座
九州大学研究者
データベース
https://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K004568/index.html

研究内容

研究テーマ設定の背景

いつからだったのかはもう分かりませんが、人間が「変わっていく」ということがつくづく不思議なことだなぁと感じてきました。自分がいま考えていることも、少し時間が経つだけで思い出すこともできなかったり、同じように感じ取ることもできなかったりするというのは、結構怖かったりするものです。そうした「変わっていってしまう」ということを、ギリギリのところで「変わってないかも」あるいは「変わっていってるけど、それでも同じ」と思わせてくれるのが「からだ」なのかな、と感じたのが研究に向かう出発点だったように思います。

 

研究手法

研究手法と呼べるような切れ味の鋭い武器は全く持っていませんが、あえて言うなら哲学ということになると思います。ただ、私自身は人間諸科学のなかを浮遊するような発想をすることを目指しているので、学問領域にとらわれることなく面白そうなことを貪欲に吸収し、かつ、それらの連関について考えるということをしていきたいと思います。

 

調査対象や調査地についての解説

調査地や調査対象は主に本です。簡単に言えば、本を読んで「う〜ん」と頭をひねる、ということをしています。具体的には身体論と言えばこの人というくらい名高いメルロ=ポンティという哲学者の思想を検討しています。ちなみに、この哲学者はソルボンヌ大学において心理学・教育学に関する講義を行っていますが、他にも絵画に関する分析を行っていたり、政治や科学に関する文章を著していたりと、まさに人間諸科学に開かれた思想を体現している人だと言えます。偉大です。

 

研究についてのこだわり

派手なことはしない。この一言に尽きるのですが、もう少し言うなら、とにかく自分にとって気になることをじっくり考えたいと思っています。その意味では、現在の流行のテーマから取り残されていく可能性はあるのかもしれませんが、「100年後に資する研究を」という思いでいます。(すいません。大きなことを言いすぎています。)

 

研究生活で最もわくわくしたこと、逆に最も落ち込んだこと

わくわくするのは人や本と感性がリンクした瞬間でしょうか。初見ではなくても、例えば昔読んで全く意味が分からなかった本を久しぶりに手に取ってみて、その内容の豊かさに突如気づくという経験をすることがあります。そんなときはまさに稲妻が走るような思いです。一方で、落ち込む経験というのは日常的にあります。分かったつもりでいて何も分かっていなかったこと。また理解していないことの膨大さ。多くのことに途方に暮れながら、それでも何かを更新し続ける日々です。

 

研究生活で出会った印象的な人物やエピソード

京都大学大学院人間・環境学研究科の岡田敬司先生には大変お世話になってきました。筆の遅い私を根気強く指導していただいた教師としてのあり方、さまざまな領域の知見を貪欲に取り込んで自らの理論を構築していく研究者としてのスタンス、そして研究室でクラシックを聴きながら机に向かう姿はいずれも私の中の大学人のイメージです。

 

大学院生の時何をしていたか

院生時代はいま振り返ると夜明け前の薄暗がりといった印象です。というより、昼夜逆転の生活を規則正しく送っていましたので、文字通り夜明け前の京都の街をウロウロしていた記憶がそうさせているのだと思います。ちなみに、散歩という名の徘徊のために鴨川近くの下宿を選びました。

 

また、大学に行く日は先輩とよく喫茶店(←カフェではないです)に行っていろいろな話をしました。何について話をしていたのかはいまや不明ですが、「喫茶店で時間を過ごした」という記憶だけで十分な気もします。すくなくとも、私の研究の基礎がそうした交流のなかにあったのは間違いないです。

 

大学院生へのメッセージ

爽やかに無茶をして欲しいと何となく思います。危うさと隣り合わせになることなく、常識にとらわれることなく、他者のまなざしに自己を奪い取られることなく。

 

学際連携についての思い

私自身が学際連携からたくさんのことを学びたいと思っています。自分の学問領域だけに閉じているのはやはりもったいないと思うので。

 

今後の研究・実践活動について

今後は人間存在における「匿名性」の側面について研究を行っていきたいと考えています。そしてその向こう側で、「人称」が生まれてくるという現象に迫っていくことが目標です。

 

おすすめの文献

○今井康雄編,『教育思想史』,有斐閣

○岡田敬司,『かかわりの教育学』,ミネルヴァ書房

○メルロ=ポンティ,『眼と精神』,みすず書房

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