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大学院人間環境学研究院

Faculty information

教員情報
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鶴崎 直樹准教授Naoki Tsurusaki

専攻 都市共生デザイン専攻
部門 都市・建築学
コース 修士: アーバンデザイン学
博士: 都市共生デザイン
講座 計画環境系講座
九州大学研究者
データベース
https://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K001346/index.html

研究内容

研究テーマと設定の背景

(1)都市・地域のリ・デザインに関する研究

国内外の都市や地域の再生事例に関する分析を通じて、我が国における持続型の都市・地域デザインのあり方について研究を行っています。また、近年、我が国の社会環境や都市・地域環境における様々な変化に対し、各都市・地域固有の特性を考慮した集約型の都市構造等が希求されています。こうしたテーマについて具体的な都市空間を対象として環境・空間の分析を行うとともに、今後の都市づくりや都市・地域の再生への手がかりとなる視点や手法に関する研究を行なっています。

 

(2)都市・地域のアイデンティティに関する研究都市や地域はそれぞれ固有の個性(アイデンティティ)を持っています。それは、土地の形状や空間など物的側面の個性であったり、文化やひとびとの営みによってもたらされている雰囲気や在り様としての個性だと言えます。こうした有形、無形の都市や地域のアイデンティティを解明し、都市や地域のデザインに結びつける研究をおこなっています。

 

(3)都市空間とアクティビティに関する研究都市は様々な空間によって構成されています。それは広場やオープンスペースなどの開放的な空間や街路空間や地下街などの比較的閉じた空間、さらに半屋外空間や建物内部の公共的空間など多様であると言えます。さらにこうした都市空間においてユーザー側もこれまでとは異なる使い方をし、都市と人間との関係も変化していると思われます。そのためこうした空間の特性やそこを利用する人々のふるまいに注目した分析を通じて、都市デザイン、キャンパスデザインのあり方について研究しています。(

 

4)空き家に関する研究都市や地域のなかで発生する空き家について様々な取り組みが進められていますが必ずしも十分な解決には至っておらず、今後、益々増加する空き家が都市や地域の環境の質を損ねてしまうこととなります。そのため、欧米をはじめアジア諸国の空き家問題に対する各国の実態や制度等を把握し、今後の我が国における空き家問題に対する適切な解決のあり方や手法について研究しています。

 

(5)都市成長管理に関する研究主にアジアやアフリカの発展段階にある都市は、無秩序なスプロール、所得格差による市街地周辺部への不法居住地区の拡大、さらに環境に関する問題など様々な課題と対峙しています。こうした問題に注目し、土地利用コントロールや公共交通を基盤とする都市づくりなどのあり方や手法等について研究しています。

 

研究手法

研究テーマによって手法は異なりますが、主として関連する資料、学術論文、地図、画像等の収集や現地調査に基づき、統計や地理情報システム(GIS)、画像解析ソフト等を用いた分析によってさまざまな特性や傾向を把握したり、関係性や要因について明らかにすることを行なっています。また、関係者や専門家とのディスカッションを通じてより正確な実態を捉えることにも留意しながら研究作業を行っています。

 

調査対象や調査地についての解説

可能な限り都市や施設の実空間を対象としています。ただ、遠隔の都市の場合には地理情報や衛星画像等を用いで、できるだけ実空間を正確にとらえることを目指しています。また、都市計画、施設計画、運営などの情報収集や空間・施設のマネジメントの実態等を把握する場合には現地でのヒアリング調査を実施することもあります。

 

分析のためのソフトウェアやツール

ドローイング系ソフト、地理情報システム系ソフト、数値解析系ソフト、表計算ソフト、DTPソフト、プレゼンテーションソフト、画像処理ソフトなど

 

研究についてのこだわり

自身の手で、データを収集・構築し、仮説や推測をおこなって実証につなぐこと。そして、その際には、オリジナルな視点や分析を行うことにこだわりを持っています。

 

研究生活で最もわくわくしたこと、逆に最も落ち込んだこと

最初の研究活動であったこともあり、特にわくわくしたのは、20数年ほど前、CGが登場し始めた頃、現在の数万円程度のパソコンよりも劣性能であったにもかかわらず、当時1千万円もするワークステーションを使って、古い実測値図から寸法を拾い、パルテノン神殿を再現(実際には、基壇と柱のみ)し、基壇のむくりやエンタシスが確認できたとき。FORTRANというコンピューター言語により、徹夜、半泣きでプログラムを作った記憶が。

 

最近では、断片的な情報をもとに仮説を立て、より多くの研究資料やデータからその仮説が確からしいと思える成果につながったときや、それとは逆に、仮説を覆す新たな発見があったときにも。同じようにわくわくしたり、充実感を得たりします。

 

落ち込んだのは、必死で作業・蓄積したデータの保存を忘れたり、HDDがクラッシュしたときでしょうか。皆さん、データは、頻繁かつ複数箇所にバックアップしましょう。

 

研究生活で出会った印象的な人物やエピソード

卒業校の恩師、そして九州大学の先生がた、そして、共同研究で関わる他大学の多くの先生がたです。特に、卒業校の恩師は、建築デザイン、都市解析、歴史建築物の調査・保存など、多岐にわたる活動をされたことは、教員の立場となった現在においてとても参考になっています。また、九州大学で出会った諸先生は、心の純粋さを保ちつつ、その研究教育活動においては戦略的な視点を備えられた刺激となる存在であり、さらに、オンとオフの個性的なスタイルは、私自身のライフスタイルの手本となっています。

 

大学院生へのメッセージ

すぐそこまで来ている専門家としての将来を意識し、知的好奇心を育み様々なテーマに対してこれまで以上に積極性や協調性をもって学生生活を送ってほしいと思います。

 

学際連携についての思い

建築物や良好な都市空間が、空間や生活の質に良い影響を与えることは当然ですが、これからの社会は、都市・建築学のみならず、多様な専門領域との協力が重要であると思われます。また、皆さんは、既成概念を取り払い、新たな学際のあり方を探求できる世代だと思います。我々とともに、その学際連携について考えてみてほしいと思います。

 

今後の研究・実践活動について

これまでは、自身が伊都キャンパスの移転プロジェクトに参画していることから、事例分析に依拠した実践的な研究を進めてきましたが、今後は、それに加え、学際的で汎用性のある研究を進めたいと考えています。例えば、都市空間やキャンパス空間を物的に解析し、計画技術や空間分析の手法の構築などを目指したいと考えています。

 

おすすめの文献

都市・建築学は、我々を取り巻くすべての環境や事象、そしてライフスタイルに関係している総合学であると思っています。ゆえに、多種多様な本に接触してほしいと思います。良書はともかく、そうでない書籍や文献にも、見出す何かが宿っていると思っています。

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