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大学院人間環境学研究院

Faculty information

教員情報
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伊藤 崇達准教授Takamichi Ito

専攻 行動システム専攻
部門 人間科学
コース 修士: 心理学
博士: 心理学
講座 心理学講座
九州大学研究者
データベース
https://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K007111/index.html

研究内容

研究テーマ設定の背景

学びの主体性についての追究は、教育心理学における普遍的テーマです。また、教育理念としても、自ら学ぶ力の育成が求められ続けています。欧米では、自己調整学習(self-regulated learning)に関する理論と実証的研究がめざましい展開をみせています。

 

 

生涯にわたって人が自ら学び続けるとはどういうことか、高いモティベーションを支える要件とは何か、そして、いかにして子どもたちを支援してゆけばよいか、これらのことが自分の中での大きなテーマとなっています。「主体的な学び」のみならず「主体的な学びあい」について、エビデンスをもとに、よりよい実践のあり方について検討を進めているところです。

 

 

研究手法

量的アプローチとしては、調査法、実験法などを用いてきました。また、質的アプローチとしては、発話分析や記述の内容分析などによって研究に取り組んでいます。これらの研究手法を駆使し、マルチメソッド(混合研究法)によって検討を進めるように努めてきているところです。

 

 

調査対象や調査地についての解説

児童・生徒から大学生、社会人までを対象としています。発達段階でいうと、児童期、青年期、成人期に相当します。これまでの勤務の経歴から、研究活動は、関西圏の学校現場が中心になります。

 

 

研究についてのこだわり

まず、学習者のニーズのありかを常に考慮するようにしています。そして、現場の実践に寄り添いつつ、研究がどのような貢献をなしえるかについて考えるようにしています。その上で、研究のグローバルな進展に目を向けるようにしています。

 

 

研究生活で最もわくわくしたこと、逆に最も落ち込んだこと

新しい研究のアイディアや方向性が閃いたときや、分析結果から新しい知見を見出したときに、とてもわくわくします。

 

 

一方で、手塩にかけた研究の成果にもかかわらず、なかなか実践への寄与が見通せないときなど、やはり無力感に苛まれることがあります。

 

 

研究生活で出会った印象的な人物やエピソード

私の中で、お二人の恩師の存在が大きいです。小石寛文先生は、学部時代と修士課程の時代に多大なお世話になり、研究はとても自由なものであり、「遊藝」の境地で楽しむことを教えていただきました。速水敏彦先生は、博士課程の時代に深くお世話になり、世界中の研究を渉猟すること、研究者として求道する精神を教えていただきました。

 

 

大学院生へのメッセージ

二人の恩師から学んだことになりますが、研究に取り組むにあたって3つのことを大切にし、折にふれて振り返っていただければ幸いです。1つめは、研究の文脈において、どのような意義があり、新たな貢献ができるかということ。2つめは、研究の成果が、実社会や現場の実践に対して、どのような示唆を与えうるかということ。3つめは、それは、自分が本当に成し遂げたいと思っていることかどうか、ということです。研究において壁に突き当たったときなど、これらの3つがバランスよく実現できているか、見つめ直してみると良いのではないかと思います。

 

 

大学院生の時何をしていたか

修士課程は神戸で2年間を過ごし、博士課程は名古屋で2年間を過ごしました。この4年間は密度が濃く、ほとんど研究中心の生活で、論文の執筆に専念していました。研究に行き詰ったとき、史跡巡りをするのが気分転換法で、神戸では、源平合戦にまつわる史跡、名古屋では、桶狭間古戦場や旧街道などを散策していました。

 

 

学際連携についての思い

狭い専門の領域で取り組んでまいりましたので、自分に何ができるのか、心許なくありますが、何かご一緒させていただく機会がございましたら光栄に存じます。小さな一歩ずつでも、できることがあればありがたく存じます。

 

 

今後の研究・実践活動について

初心を忘れずに、さらに精進を重ねてまいりたいと思っております。これまでに取り組んできたことにとらわれることなく、新たな研究テーマにも挑戦していきたいと考えています。

 

 

おすすめの文献

○伊藤崇達『自己調整学習の成立過程―学習方略と動機づけの役割』北大路書房 2009年

○塚野州一・伊藤崇達(監訳)『自己調整学習ハンドブック』北大路書房 2014年

○西口利文・植村善太郎・伊藤崇達『グループディスカッション―心理学から考える活性化の方法』金子書房 2020年

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